私の事しか語れない。

日々の彼是。脳内垂れ流し。

わざわざ災い。

災難というものは、天災や人災や色々と原因はあるだろうけれど、良くないことが続くと、さすがにお祓いに行きたくなる。その程度の信心はあるということか。

さて、わりと災難が続いている。自分自身のことだけではないし、つまらないうっかりミスなどもあるし、長期的に対処していかなければいけないこともある。

そんな中、自分自身にまぁまぁな災難が降りかかった。

ある金曜の夕方。仕事の用事を帰るついでに済ませたので、いつもとは違う道で帰路についていた。とはいえ、別に初めての道というわけでもなく、とくに急いでも焦ってもいなかった。運転の合間に夫から帰るコールがあり、比較的早く帰れていたので、一緒にジムに行こうということになった。ジムは帰り道の途中にあるので、ルートは変わらない。ただ、いつもは左折専用レーンに入るために左車線を走っている道の先に、停車している車があったので、右車線に入った。大きい道と交差する時に左折専用レーンになってしまう左車線よりも、直進と右折レーンに広がる道になる右車線の方が混んでいた。

車線変更の時には十分に後ろと距離を取れていた。信号も多い道なので、列は途切れやすいのだ。交差点付近まで来たところで、停車した。信号は青だったけれど、前が詰まっていて、渡れない。左車線に停車していた車は、とっくに動き出していて、ガラ空きになっていたから、車線変更をしたいなと思いつつ、前の車を避けられるほど距離が空いているか分からなかったので、動き出してから車線を変えようと思っていた。

結局、交差点を渡る手前で信号が赤に変わった。そんなのは日常茶飯事で、たいして気にもしていなかった。しかし、それと同時ぐらいで、後ろから衝撃を受けて、前のめりになった。ドンっ!という衝撃で、すぐに追突されたのだと思った。

後ろを振り向くと、確かに車が接近している。

面倒くさい。

それが、最初の気持ちだった。けれど、何事もなかったように走り去るには衝撃が強すぎる。すぐにハザードを焚いて、車を降り、当てられたところを見ようかと思ったけれど、よくわからなかった。

とにかく事故にあったことは間違いない。追突してきた人は申し訳なさそうに、何かを言っていた。

逃げられたら困る。

次に思い至ったのは、相手方に走り去られたら困るということだった。

警察呼びますね!と興奮して言う私に、相手は、とりあえず車を動かしましょうと促した。確かに、そこは右折と直進車線で、後ろにも車が来ている。長時間放置はできない。追突されてパニックになっている私に対し、相手の方が冷静だった。

相手に促されるまま、交差点を少し過ぎたところに停車して、警察に電話した。

通報したのは初めてだと思う。

状態と場所を告げて、警察官が来るのを待った。

たまたま広い駐車場のある店の側に止めていたので、悪いと思いつつ、そのまま店の駐車場に止めさせてもらった。もちろん、相手側の提案で。

警察官が来るまでの間、何をしていいか分からなかった。変に相手と話して不利なことになるのは避けたい。

とにかく、運転中であろう夫に連絡をし、事故にあったことを伝え、警察官が来るのを待っていると話すと、すぐに行くので、そのまま待つように言われた。

夫と連絡を取れたことに安心して泣きそうになったけれど、大人なので我慢した。

警察官が来るより早く、夫が到着した。

夫はすぐに車の状態を確認し、損害保険の窓口にもなってくれていたディーラーの担当者に連絡を入れてくれた。

そうこうしていると、警察官が来て、事故処理が始まった。身分証や車検証を提出し、どこでどういう風にぶつかったのか説明し、車の被害状況を確認された。

数十分で事故処理を終えて、警察官は去っていった。思ったよりも、あっさりしているなという印象だった。

相手方と連絡先を交換し、あとはお互いの保険会社を通すということにして、現場を後にした。

相手は年長の男性だったこともあり、夫が傍らにいてくれて、本当に良かった。

相手がごねたり、逃げようとしたり、恫喝しようとするタイプじゃなくて、本当に良かった。

金曜だったので、月曜まで保険会社とは連絡が取れなかった。

とりあえず、なんともないことを確かめたくて、翌日にかかりつけの整形外科へ行った。

こちらは被害者であり、後で相手方の保険会社に費用を請求することになるので、全額自己負担分を立て替えなければいけないのが、地味に辛かった。レントゲン撮って診察受けたら、手持ちのお金全部持っていかれて、処方された塗る湿布薬を受け取れなくて、お金下しに行ったわ。

幸い、ケガはなく、通院も不要なようで、一安心だった。

手元には、病院の領収書、薬局の領収書、そして、警察署宛と書かれた封筒に入れられた診断書が残った。

車の方は、ハッチバックの一部が凹んでいる。板金で直すことも出来るだろうが、とりあえずディーラーに修理をお願いするつもりでいる。

土日挟んだことで、気持ち的にも落ち着いていたけれど、まだ何も始まってないと言えば、始まってなかった。

月曜日、知らない番号からの着信が立て続けに入った。順番に折り返すと、自分と相手方、両方の保険屋からだった。

これは、たまたまだけれど、相手方と自分は同じ保険会社を利用していた。

保険会社内で、何かやり取りすることはないようだったけれど、自分の担当者に、相手の名前と車のナンバーを伝えると、加入状況や、担当者などがすぐに確認できたのは、便利だった。

今回は、私が停車中の事故なので、すべて相手の保険を使うことになった。私の保険会社からも連絡はあったけれど、使わないことになったので、何もしてもらうことがなくなってしまった。私の方にも過失があれば、交渉事などはやってくれたのだろうけれど、使わないので、相手方の保険会社とのやり取りも、自分でやらなくてはいけないそうだ。知らなかった。

とはいえ、特に交渉しなくてはいけないことはなく、車の損害に対してと、病院に罹った分は、それぞれ業者と病院に連絡を入れて、補償してくれるそうだ。

相手が、ちゃんと任意保険入っててくれて良かった。

事故の被害者になるのは初めてではないけれど、自分で保険会社とやり取りするのは初めてで、正直、とても面倒くさい。

今まで、保険は被害の補償のためにあるのだと思っていたけれど、加害者の負担を減らすためにあるものなんだと認識を改めた。

私にとっては、初めてのことばかりで、迂闊だったような気もするし、誰に何を確認すればいいのかもわからないことばかりだ。

差し当たっては、手元にある警察署宛の診断書をどうすべきか悩んでいる。

てっきり保険屋が処理してくれるのかと思っていたが、そうではないらしい。

ネットで色々見ても、面倒そうなことしか書かれていない。そもそも正しいのか判断できない。誰に相談すればいいのかわからないのが、困る。

事故に遭うなんて、災難以外の何物でもないと痛感する。

そもそも、事故に対する知識が無い。身内でひどい事故にあった人はいないし、世間話としても聞いたことは無い。

交通安全講習などでは、事故を起こさないための話をされるし、起こした時の場合でも、あまり具体的なことのように聞こえない。

保険会社とのやり取りも営業担当の人としかしたことがない。

相手方の保険会社の人と話した時、丁寧な対応はされたけれども、この人は、私にプラスになるようなことをしてくれる人ではない、と感じた。

この人のお客様は、私じゃなくて、加害者側なのだと当たり前のことを感じたのだ。

でも、私が話す相手は、加害者側の保険会社の人しかいない。そして、顧客ではない私の被害者としての相談を、この人は聞いてくれない。

相談しようとした自分が愚かだったと、今では思うけれども、私としては、事柄としての相談というか、事故にあった場合の一般常識を聞くような気持ちだったのだけれど、相手としては、加害者側として余計なことは言えない、という雰囲気だった。

面倒だったのは、事故にあったのが、金曜の夕方だったこと。その日のうちに相手方の保険会社と話す機会があれば、病院に行くことを伝え、その時に診断書が必要かどうかぐらいは、教えてくれたかもしれない。

また、車の修理にしても、中古で購入したもので、懇意にしている修理業者もなく、結局、夫が使っている車のディーラーに相談することになったのだけれど、ディーラーは平日休みなので、見積もりの為に車の状態を見せに行くのが、5日後になってしまった。

修理に関しては、見積もりを出してもらって、修理に出して、費用は相手の保険を利用するから、私の持ち出しはなく、ただ修理から戻ってくるのを待つだけなのだけれど、G.Wがあるので、戻ってくるのが遅くなりそう。

ディーラーとのやり取りは、主に夫がしてくれているので、なんだか私は蚊帳の外だ。

私の方は予定も何もないので、言われた通りの日程で車を持って行って、受け取るだけなのだけれど、進捗が分からないのが、ちょっと嫌だ。

中古で買った古いタイプの車なので、部品が揃い次第の着手となり、その部品が揃うのが、いつになるのか分からないらしい。

結局、保険会社の人と話して1週間後ぐらいに診療費などを申請する用紙が送られてきて、指示されるがままに記入し、領収書を添付して返送した。

念のため、送る前に領収書のコピーは取っておいたけれど、1週間後ぐらいには、添付した領収書分、振り込みがされていた。

ケガ(してないけど)に対する保険会社とのやり取りはこれで終了。らしい。

修理の方は結局、G,W明けにディーラーに車を預けて修理をお願いした。

車検などの時に出してくれる代車は、ディーラー所有のものだけれど、今回は代車費用も保険会社への請求に含まれるので、同等クラスのレンタカーを貸してもらった。

同等とは言え、そこそこ古いタイプの私の車よりも、ずいぶん新しくて綺麗な車で、私の車には付いてない機能がアレコレ付いていて、嬉しいけれど、これに慣れた頃に古いタイプの車が戻って来るのかと思うと、ちょっと複雑。

修理期間は、2週間ぐらいと言われていたけれど、結局、1週間ほど延長された。

戻ってきた車はピカピカで、交換してもらったバンパーには、自分で着けた傷もあったので、それも無かったことにしてもらえて、ちょっとラッキーだった。

これからは、ぶつけることもぶつけられることもなく、綺麗なままで使ってあげたいと思う。

支払いに関しては相手方の保険会社なので、自分の持ち出しは、代車のガソリン代ぐらい。3週間ガッツリ乗ったので、いつも自分の車に入れるのと同じぐらいでした。

これで、ケガに関する保険も、修理に関する保険もやり取り終了かなと思っていたら、ケガ関係の方から、また書類が届きました。

私が病院に行ったので、その慰謝料をくれるそうです。そうなんだ。

前回届いた書類で、実際に私が払った金額を申請したので、それを含めたケガに対するトータルの補償のための書類でした。

その書面のなかで、使ってない診断書も送って欲しいと明記されてたので、言われた通りお渡ししようと思います。

それを送ったら、今度こそ、ケガに対する保険のやり取りは終了のはず。

あとは、修理してもらったディーラーから保険会社へ請求がいき、私の方に支払完了の連絡がくれば終わりのはず。

結局、1か月以上、修理やら処理やらに時間を取られてて、費用的にはちょっとプラスだけど、経験しなくていいなら、やっぱりしたくなかった。

最初に言った通り、面倒くさそうだったから、そのまま走り去ることも出来たのだけれど、修理費を考えたら、やっぱり事故処理してもらって良かったんだと思う。

見た目には少し凹んだぐらいだったけれど、そこからどんどん錆びてきてたし、放っておくと、さらに傷みが出ただろう。バンパーも歪んでいたようなので、そこからどんな不具合があるか分からない。もし放っておいて、走行中にバンパーが外れるようなことが起きたら、それこそ大事になってしまう。

夫からはつまらない、と言われるぐらい軽微な事故ではあったけれど、全損するぐらいの事故だったら私も無事ではいられなかっただろうから、無傷だから言えることだなと思う。

夫は非常時にとても頼りになるし、そういうところが好きだけど、非常時にワクワクされると複雑な気持ちになる。あと、日常的にも頼りにさせてほしい。

書類を返送して、割とすぐに慰謝料が振り込まれたので、これで全部お終いのはず。

修理費の方も支払い完了通知ぐらいくるのかな。

それもハガキを受け取るだけで終わりそうなので、これで締めとしたい。