未踏の地に赴く。
旅行というのは、数か月前から予定し、予約し、行動するものだとなんとなく思っていた。
行程を決めて、行く場所を選び、宿を選び、予約が必要なものは予約をして、ガイドブック片手にワクワクするのが、旅行だと思っていた。
最近の旅行は、もっぱらスマホ頼み。
G.Wに休みが取れそうだと言うので、どこかに遊びに出かけようか、なんて言っていたのは、G.Wが始まる10日前ぐらいだったと思う。
旅行をしようと言われたのも、その数日後ぐらいで、ようやくどこに行くか検討し始めた。前から行きたいと思っていた四国か、今なら空いてるかもしれないディズニーか迷ったけれど、四国になった。住んでる所から四国までの途中に兵庫があるので、ついでに神戸も行きたい、瀬戸大橋も渡りたい、と夫が言うので、グーグルマップを開いて、行きたいところをピックアップして道を繋ぎ、帰りに倉敷も寄るようにして、ざっくり道程を出した。
グーグル様様。これでもう、旅のしおりは出来たも同然。あとは、それぞれの地点に行くまでの所要時間から、泊まる場所を選び、ホテルを探した。
時間的に、一日目で四国には渡れそうだったけれど、神戸で夜景を見たいという、私のリクエストにより、初日の宿泊場所は神戸にした。2日目は徳島を通って香川に行くけれど、香川でどのぐらい時間を使うかわからない。少なくとも、3日目の朝には瀬戸大橋を渡る算段だったので、やはり瀬戸大橋のある辺りのホテルを選んでおいた。
この時点で決まっているのは、行く土地と宿泊場所ぐらいで、何をするかというのは、それほど明確ではなかった。絶対外せないのは、香川でうどんを食べるぐらいだ。
旅行前日の夜に、地元の丸亀製麵でうどんを食べながら、とりあえず1日目のホテルを予約した。問題なく取れたのは、G.W終盤の日程だったからだろうか。もっと早く探していれば、もしかしたらもっとお得なプランとかあっかもしらん。
旅行当日、とりあえず昼飯に明石焼きを食べることを目的に家を出発した。
そういえば、今回は公共交通機関を使わないマイカー旅行だったので、余計に諸々アバウトに行けたのだと思う。
さて、いざ明石である。またグーグル様に探していただいた明石市の有名明石焼き屋に到着したのは、昼前のことであった。
ナビに住所を入れたので、店まではスムーズに行けた。近くのコインパーキングに車を停めて、いざ店の前に行くと、結構な行列が出来ていた。
G.W前半は少し肌寒いぐらいの天気が続いていたが、後半になるにつれ、最高気温は上昇していた。日差しを遮るもののない場所で、約1時間半待って食べた明石焼は、まぁまぁ美味しかった。反省点としては、明石焼とおでんしかない店で、言われるがまま、1枚ずつ頼んだら、20個入りだったことだ。正直、多かった。一緒に頼んだおでんのタコの方が柔らかくて大きくて美味しかった。それでも、老舗で名物を食べられたのだから、旅らしいことは出来たと思う。
明石焼とタコを明石で食べたら、もう目的は達成した。明石に何があるのかろくに調べてもいないので、明石を後にして神戸に向かった。
神戸に何があると言われると、ハッキリというのは難しいけれど、とりあえず観光地の中心であろう北野を目指した。
明石焼でお腹はいっぱいだったけれど、コーヒーブレイクをしたくて北野で有名なパン屋へ行った。また近くのコインパーキングに車を停めて、パン屋へ行き、翌日の朝食用のパンとその場で食べるスイーツを買った。コーヒーはサービスで飲めたので、そのまま外の席を借りて休憩した。車を停めたまま、異人館のある辺りを歩き、暑くなってきたのでソフトクリームを食べた。買ってから、そのソフトクリームは10年近く前に友人と神戸に来た時に食べたものと同じものだと言ういうことに気が付いた。
神戸の坂道に息が上がりながら、北野天満宮にもお参りし、車に戻って、今度は六甲山へ。
六甲山から夜景を見つつ、夫が好きなドライブウェイに行けたらいいと思っていた。
箱根とも、いろは坂とも違う山登りドライブで酔いそうになりながらも、六甲山のケーブルカーの駅まで行った。そこで、1時間ほど休憩して日が落ちるのを待った。
夕方ぐらいだと、それほどでもないと思っていた風景が、夜になると一変した。
一面の光。街中のタワーや展望台から見るのとは違う、光の海を観ることが出来た。
夜景に満足したので、ドライブウェイを通って市街地に戻ることにしたけれど、ちゃんと地図を確認しなかったせいで、反対方向に進んでしまい、無駄に山道を往復することになってしまった。夫の峠攻めは、三半規管の弱い私にはつらいのです。
山を下りるころには、すっかりグロッキーになってしまいました。
時間も思った以上にかかってしまったので、とりあえずホテルへ。
六甲山からは少し距離のあるポートアイランドに行くと、同じ埋め立て地でもお台場とは比べ物にならないぐらいの道の複雑さで、夫が軽くキレていました。
ホテルに着くころには、店も閉まる時間で近隣で食べられそうなところも探せなかったので、ホテル内のエレベーターの中に掲示されてたポスターに惹かれて、ホテル内のレストランでハンバーガー2種類をテイクアウトし、隣のコンビニでおかずや飲み物を調達して、部屋で夕食にしました。ハンバーガーは、フロントの人が部屋まで届けてくれたので、その場で待つ時間が無いのが楽でした。
ホテルには大浴場もあったので、広いお風呂に浸かって、少し疲れが取れた気がします。
翌朝、止め忘れていたスマホのアラームで平日と同じ時間に起こされ、まだ寝ていたかったけれど、前日、風呂に入った時に髪につけたアメニティのオイルが、だいぶ付けすぎてたのと、匂いがきつかったので、朝風呂からスタート。朝からサッパリできました。余談ですが、夫は部屋のユニットバスでシャワーを浴びたのですが、シャワーカーテンをしっかり閉めていなかったせいで、トイレ部分の床がびしょ濡れになり、すでに靴下を履いていた私は脱ぐのが面倒で、トイレに入る際に簡易スリッパを履いた状態で入ったら、底が濡れたスリッパで、部屋の石っぽい床を踏んで見事に滑って、段差に足を打ちました。痛かった。痣になったぐらいで済んでよかったし、頭を打たなくて良かった。
身支度を済ませて、とりあえず次の行き先を決め、ホテルを後にしました。
まずは、明石海峡大橋を渡り、淡路島へ。淡路島のSAでコーヒーを買って、橋を眺めながら前日に買っておいたパンを食べました。
そのまま淡路島を走り、鳴門海峡を渡って四国へ。私も夫も初めての四国です。
まずは、鳴門海峡の渦潮を観るための観光船に乗りに行きました。
が、鳴門の渦は常に発生しているわけではなく、潮の干満によっては、発生してない時間帯もあるそうです。知らなかった。常時発生していると思ってた。
そうじゃないと知ったのは前日のことで、ギリギリまで船に乗るか迷っていたのですが、ちょうど見えなくもない時間帯の船を予約することが出来たので、乗り場へと向かった次第です。
私たちが乗船したのは、底から海中が見えるタイプの小型船でした。
渦潮が比較的よく見える時間帯の次に出航する船だったからか、乗客は私達含めて2組でした。ほぼ貸し切り。乗り物に弱めなので、船酔いが心配でしたが、短い時間だったので大丈夫でした。
鳴門大橋の下あたりまで移動して、潮がぶつかり、渦が出来る様子を間近でみることが出来ました。満潮の時間帯であれば、もっと大きい渦が見えたのでしょうが、もっと揺れも大きくなりそうなので、このぐらいで丁度良かったかも。
本当は、海中で渦が出来る様子も見えるはずだったのですが、分かりづらかったので、ほぼデッキから海を眺めてました。
船を下りて、徳島を後にし、香川へと向かいます。高速道路は空いていて、低めの山が連なっていて、本州とは違う風景だなと思いました。
香川では、もちろん、うどんを食べます。
テレビで紹介されてたり、映画で観たりして、名前のわかる店はいくつかありますが、とりあえず、またグーグル先生におすすめのお店を教えてもらうと、もちろん行列が出来ていました。
また並ぶのか、と若干うんざりしましたが、駐車場も完備されてるし、列はどんどん進むし、それほど待たされずに済みました。
思ってたよりもフカフカした食感で、もっちりしていて、出汁が効いていて美味しかったです。ただ、好みから言えば、もっとうどんにエッジがきいていてコシが強い方がよかった。まぁまぁお腹はいっぱいだったけれど、もう一度グーグル先生にお伺いして、今度はレビューをちゃんと好みのうどんを出してくれそうなお店を選び、もう1軒行くことにしました。
1軒目は、わりと住宅街の中でしたが、2軒目はオフィス街の一角にあるお店でした。狭いながらも駐車場があったので、助かりました。
人気のちくわと、卵の天ぷらは注文に応じて作ってくれるので、絶対に揚げたてを食べられるスタイル。うどんは、半玉から選べたので、半分にしておきました。
ここは、ほぼセルフスタイルなので、もらったうどんを温かく食べたいなら、自分で湯がきます。サービスのトッピングには、揚げ玉とねぎだけでなく、わかめやおかか、うめぼしもありました。
温かいかけうどんで食べたかったので、うどんを湯がき、つゆを注いで、好みのトッピングを入れて、食べてみると、どんぴしゃに好みの味でした。
麺はツルツルシコシコでコシが強く、出汁も濃い目で美味しい。頼んでおいた揚げたてのちくわ天はザックリで竹輪自体の味もしっかりしてて、とっても美味しかったです。
正直、香川で食べれば、うどんは何でも美味しいのだろうと思っていたのですが、それぞれに好みがあるのだから、違っていて当然ですね。考えを改めました。
さて、うどんで腹ごしらえを十分にできたので、次は観光です。
金毘羅さんに行きました。観光名所らしいところも行っておきたくて選びました。
お土産屋さんに挟まれた参道をひたすら登っていくわけですが、途中のお土産屋さん買い物したり、自販機でお茶を買えたりと、最初はのんびりペース。
ゆっくりと上った先に山門があり、そこから先は境内になるので、商業的なものは何もなくなります。中にカフェも併設されてましたが、お腹いっぱいだったので、立ち寄りませんでした。
汗だくになりながら登り続け、最後の最後に傾斜がヤバイ階段を上がった先に、本堂がありました。
本堂自体は、それほど装飾が華美でなく、山の中のお宮らしい佇まいでした。
せっかくなので、お守りも頂いて、今度はサクサクと降りていきます。
途中、休憩しつつ、この日の宿を決めました。
階段を降りたところにあったお土産屋さんで、おいりトッピングのソフトクリームを食べました。見た目が可愛くて、ものすごく軽かったです。
山登りの疲労を感じたまま、金毘羅さんを離れ、海寄りの町に移動しました。
翌日に渡る予定の瀬戸大橋の傍まで行き、記念公園をウロウロして、外にある展示物などを見ました。自分たちが生まれたぐらいの時代に長い時間をかけて、本州と四国を繋ぐ橋が架けられたなんて、技術力のすごさに痺れました。
夕飯は、市場のフードコートのような場所に行こうと思ったのですが、なぜかやっておらず、仕方ないので、ホテルのすぐそばにあるうどん屋で食べました。出汁は美味しかったけれど、閉店時間が近いからなという感じでした。
ホテルは普通のビジネスホテルを選んだつもりでしたが、なんか改装したのか、ちょっと微妙なところもあり、何よりベッドが合わなくて辛かったです。
それでも狭いながらも大浴場があったので、少しは疲れが取れたかな。
立地だけで選んでしまったので、ちゃんとレビューとか見ればよかった。
翌朝のご飯は、プランについていたので、朝食ビュッフェを利用しました。
トングやレードルを使い捨てにさせるなど、感染対策を徹底していて、食事の種類も豊富で、焼き立てパンが美味しくて、食べ過ぎてしまいました。
部屋は不満だったけど、朝食に迷わなくていいのは、助かりました。
さて、さっそく瀬戸大橋を渡ります。本州と四国の間に点在する島々が美しくて、不思議な光景でした。せっかくなので、瀬戸大橋の途中にあるSAにも寄りました。
波が穏やかで、のんびりした空気が流れているようでした。
あっという間に瀬戸大橋を渡り切り、本州へと帰ってきました。
このまま帰路についても良かったのですが、せっかくなので、途中にある倉敷の美観地区へと行きました。
思った以上に範囲が広くて、けっこう歩き回りました。お堀のある通りと、町屋が並ぶ通りで、少し趣が違うのが興味深かったです。お堀を渡る舟も乗ってみたかったけど、待ち時間の都合で断念しました。本当はお堀の通りを一周するぐらいで良かったんですけど、スタバを求めて駅まで行ったせいで、思った以上に歩き回ってしまい、予定外に疲れました。前日の金毘羅さん参りが効いてる。
一通り見て、夫が帆布のカバンを衝動買いするのを見届けてから、帰路に着きました。
岡山から、地元までは約4時間ぐらいですかね。途中、大きそうなSAに何か所か立ち寄り、お土産やおやつを買いました。最後に大津で551の豚まんを買い食い。買い食いっていう感覚にしては、買うまでに40分ぐらいかかってますけど。
そういえば、自分も運転するつもりでしたが、なんだかんだ全行程を夫が運転してくれました。助かるけど、任せて寝たりは出来ないので、ちょっと運転してもよかったかも。夫が乗る車は3年ぐらい運転させてもらってませんけど。
渋滞らしい渋滞はなかったものの、予定よりも帰宅が遅くなりそうで、ここまで来たらついでにと、夫の実家にお土産を渡しに行き、ようやく地元に戻り、G.Wの名残を感じさせる込み具合の温泉施設で温まってから帰宅しました。
お土産と荷物を整理して、久しぶりの旅行は終了です。
ほぼ突発的だったとはいえ、概ね予定通りの楽しい旅行でした。
余談ですが、1軒目と2軒目ではお土産用の生麵が売っていたので、買っておいたのですが、帰宅翌日の夕食に1軒目のうどんを茹でて食べたら、店で食べた時より好みの味と食感でした。どういうことかな。美味しかったからいいけど。