私の事しか語れない。

日々の彼是。脳内垂れ流し。

あの頃は知らなかった。

連休は台風が近づいていることもあり、3日間引きこもっていようかと思ったけれど、それも勿体無い気がして、日曜日に出かけることにした。

一人で出かけるのはそれほと苦ではないけれど、理由なく出かけたいほどでもない。

いくつか自分に理由をつけて、一人ででも行くんだと思えないと行けない。

大した理由じゃなくていい。新しく買ったリュックを使いたいとか、持ち腐れてるデジイチを使いたいとか、美味しいランチが食べたいとか。

それらの理由をつけて、出かけたのは、みなとみらいの反対側。野毛と呼ばれる辺りだ。

年齢にそぐわいないような店で買った、年齢にそぐわないような色の可愛らしいリュックに少しでも似合うような服を選んで、化粧をしたら、アイラインが濃くて、少しケバくなったけれど、気にせず外に出た。リュックの中には、しばらく使っていなかったデジイチが入っていて、少し重い。

早起きは出来なかったので、野毛に着いた頃には、ちょうど昼時だった。まずはランチだ。

ネットで検索したお店へ向かい、恐る恐る中に入る。

先客は二組。カウンターがあるので、一人客も想定しているのだろう。

こじんまりとしていて、でも、スッキリとした店内は入りにくくない。

ランチとビールを注文する。ビールは琥珀エビスだった。

サラダ、フォカッチャ、パスタと来る度に携帯で写メを撮る。さすがにデジイチは出せない。シーザーサラダのようなドレッシングはチーズの味が濃くて美味しい。

クルトンの代わりなのか、自家製のポテトチップが入っていて、食感もいい。

フォカッチャにはバジルが練り込んであり、軽くトーストしてあるので、香りがいい。パスタは蟹とキノコのトマトクリームソース。ワタリガニがタップリ入っていて、食べごたえがあるのに、重くなかった。

あっという間に食べつくし、さっさと店を出る。一人で長居する雰囲気ではないし満腹だったので、デザートを食べる気にもなれなかった。

ビールを頼んだので、ランチにしては高めだったけれど、予想以上の満足感を得て、次なる目的地へ向かう。

 

野毛山動物園は、無料で入れる動物園だ。横浜には、他にもいくつか動物園があるが、どこも遠いし、入園料は安くない。

駅まで徒歩で行ける距離でしかも無料。

一人で、気軽に行くのに、これほど適した動物園があるだろうか。

神奈川に住むようになって数年経つが、野毛山に行くのは初めてだった。

野毛の辺りに来るのは、飲みに来る時ぐらいだが、それも数えるほどしかない。

それも、駅からそう離れない場所にしか行かないので、野毛山動物園のある野毛山公園が、坂のキツイ場所にあることすら知らなかった。

満腹の状態で、腹ごなしがてら、坂を上りきった時には、少し息が上がっていた。

休日の動物園はそれなりに混んでいて、家族連れやカップルで賑わっている。

さっそくリュックからデジイチを取り出し、首に掛けて、写真を撮りながら動物達を見て回った。

動物園には2回しか行ったことがない。上野動物園と、ズーラシア。どちらも、大きな動物園で見て回るのに時間がかかった。特にズーラシアは途中に広場があったりして、ものすごく歩かされた。

それと比べると野毛山動物園は実にこじんまりとしている。さすが無料。

しかし、山の勾配を活かした作りの為、意外と歩く。そして、上る。降りる。

無料だし、と半ば舐めていたが、ちゃんとトラやらライオンやらキリンやら、動物園らしい動物がいた。1頭ずつだったけど。唐突にインコがいたりもするが、悪くない。ちょうど、タヌキやアナグマの餌やりを見ることもできた。

何度もシャッターを切ったけれど、思うような写真は撮れなかった。

センスと技術が欲しい。ふれあい広場とかいう小動物と触れ合える場所にはひときわ人が集まっていた。しかし、休日は先着で整理券を配布しているらしく、待てば入れるというわけでもないらしい。出遅れて、整理券をゲット出来なかった子供が何人か泣きわめいていた。自らの気持ちを臆すことなく発散させることができるのは、少し羨ましいし、子供の特権でもあると思う。慰めてくれる人が側にいるならば、尚更。

だいたい一周して、出入口に戻ると、園内地図があった。入った時には気が付かなかった。シマウマを見忘れていたが、戻るのも面倒で、そのまま外に出た。

昼酒が効いているらしく、少し頭が重いが、まだ行きたい場所がある。

 

動物園を出て、登ってきた坂を下った先に、大きい図書館がある。

たまに父が来ているらしい。父は読書家で、昔から図書館にはよく行っていた。

自分も、子供の頃には読書家だと思っていたけれど、文学作品などには興味はなく、図書館でも、もっぱらジャケ読みしていた。

その中で、何人か好きな作家さんと出会えたのだから、そんな探し方も悪くはない。

家を出てからは、自治体の図書館に行くことはなく、たまに文庫本を買う程度。

読む時間も少なく、とても読書家だとは言えなくなった。

旦那がいない間にも、家にある本を読み返すことはあったけれど、図書館に行くことはなかった。

久々に入る図書館は、賑わっているというと語弊があるが、想像よりも人が多かった。さすが、地元とは人口が違う。

本屋とはまた違う雰囲気の本棚を巡り、気になった本をいくつか手に取った。

読むのを躊躇っていた本と、読もうと思っていた作家の本と、表紙が気になった本の3冊を持ってカウンターヘ向かい、貸し出しカードを作ってもらった。

何年ぶりかに本を借り、リュックに詰めて、重さが格段に増したのを肩に感じながら、家路に付いた。

 

ランチこそ大人な感じのお店に行ったけれど、その後の足取りは、まるで中学生のデートコースだった。

無料の動物園に、無料の図書館。中学生なら気兼ねなく遊べる場所だ。

残念ながら、自分が中学生の頃は、デートなんて二次元の世界の出来事で、まったく無縁だった。

無縁なまま、そういうデートが似合わない歳になって、今に至る。

あの頃は、そんな楽しみがあるなんて知る由もない。身近に動物園はなかったし、図書館は地味で暇な人間の行くところだった。

第一、そんなデートに付き合ってくれる人がいない。今もいない。

現代の中学生男子がどんなもんか、よくわからないけれど、そういうデートをしてくれる男子がいると仮定して、想像してみると、甘酸っぱくて直視できない。

そこに至るまでのアレコレを考えるだけで、動悸がしてくる。羨ましすぎる。

青春プレイバック。いや、その青春は偽造か。むしろ幻か。

そういう青春をおくれるような人生だったら、諸々違っていたんだろうなぁ。

それこそ幻だわ。

 

読むの躊躇っていた本。予想通りの後味の悪さだけど、面白い。桐野夏生は、グロテスク以来二度目。似たような中年女性のグロさがあって、嫌悪感あるけど、一気に読んでしまった。映画の主人公が木村多江さんなのが、不思議で気になる。

東京島 (新潮文庫)

東京島 (新潮文庫)

 

 読もうと思っていた伊坂作品の本。ちゃんと読むの多分初めて。大野くんのドラマの原作かと思ったら違った。これも後味悪いかな、と思ったらそうでもない。伊坂作品はもっと読みたい。

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

 

 後味悪そうな上二冊の口直しにジャケ読みした本。なんていうか、漫画で読みたい。白っぽい線で。宇仁田ゆみさんとかの絵の雰囲気で。

はさんではさんで

はさんではさんで