私の事しか語れない。

日々の彼是。脳内垂れ流し。

消したいものは何か。

おはようからおやすみまで蝉の声を聞き続ける季節。そろそろ気が狂いそう。夏真っ盛りですね。学生さんが夏休みに入って、電車が空いたので、通勤が少し楽です。毎年言ってます。私にも1ヶ月ほどの休みをください。毎年言ってます。

夫の帰宅は一週間ほど伸びてしまい、まだ帰ってきてません。いい加減にしろや。一応、帰宅日は決まっているので、掃除やら買い出しやらしないと。冷蔵庫には酒と調味料ぐらいしか入ってません。氷結ライチ美味しいです。

夫の帰宅が伸びた隙に、色々あって、怒涛の7月になってしまったんですけど、まぁ、詳しく言うようなことでもないのと、普通に箝口令敷かれて言えないのと半々です。

そんな感じで7月を終えて、ちょっと落ち込むというか情緒不安定になってた所で、読んだ本が、思いの外タイムリーというか、今このタイミングで、この内容?って感じだったので、面白かったです。こういうの2回目。

読んだのは、これ。

消滅世界

消滅世界

 

必要ないとは思うけど、ネタバレ含むので一応折ります。

 家族のあり方とか、生殖の進化とか、生き方の変化とか、そういう内容で、割りとショッキングなところもあり、読んでいても続きが気になってしまい、結局、一気に読み切ってしまいました。そういうの久々だった。

村田沙耶香さんは本を読む前に、ラジオで本人がお話されてるのと、その友人且つ同業の方たちが、村田さんについて、「クレイジーだ。」と言っているのを聞いてしまったので、最初に本を読んだ時も、ショッキングだったり、グロいというか、不思議な世界観だったりしても、ご本人がクレイジーだからなと思って、それほど衝撃を受けていませんでした。

でも、『消滅世界』を読む前に、エッセイを読んで、さらにイメージが変わり、クレイジーとか言われてるけど、考えてること、普通の女性じゃんとなりました。

きれいなシワの作り方~淑女の思春期病

きれいなシワの作り方~淑女の思春期病

 

 年齢の割に、考え方が可愛らしいな、とか、視点が面白いなと思うところもあるけれど、年相応にファッションやメイクについて悩んだり、発見したりしていて、そんなに驚くほど変わってる人じゃないのかも、と思えました。もちろん、変わってるなと思うところもありましたけどね。とりあえず、DV彼氏の話を詳しく聞きたかった。

『消滅世界』の内容で、一番衝撃的だったのは、男性の妊娠の描写でした。『殺人出産』のなかも、男性が妊娠する世界だったけれど、もっと生々しく、リアリティのある描写で、もしかしたら、何年か後に本当にそんな技術が開発されてもオカシクないんじゃないかと思えました。妊娠できない男性は女性の子宮を借りて子供を産んでるっていうのは、当たらずとも遠からず。そういう考えもあるなと思わされた。

『消滅世界』の中では、家族は家族で、配偶者とは、恋も性交もしないのが普通。恋は、外注か、2次元が基本。そういえば、3次元アイドルに恋する描写はなかったと、今気が付きました。セックスは基本的にはしない。そもそも、男女ともに避妊処置をされてるから、生殖としてのセックスを取り上げられてる。

なんだろう、書いていて、現代社会とどれほど違いがあるのか、よくわからなくなってきました。

家族は家族。恋をして好きになった相手でも、家族になってしまったから、性欲がわかなくなり、セックスレスになるという話は、珍しくないようです。

そもそも、家族ではない人と恋をするのは、独身の場合は当然のことですよね。でも、それも、近代社会のことで、兄弟間や親子で、婚姻関係を結ぶのが珍しくない時代もあった。

2次元に恋をするのも、一部の人のなかでは当然のことのようになってきているし、子供たちから、性描写や、性的な知識を奪って、そもそも、そんなものは無いように思わせるのは、精神的な去勢じゃないでしょうか。

私は、私が生きてる世界しか知らないから、自分の感覚が普通だと思ってるけど、常識が変われば、それも普通だと思えるようになるんだろうか。

主人公は、環境に応じて感覚を変えていくけれど、全ては変えられない。自分が普通かどうか、確かめずにはいられない。この感覚は、私のものなのか、作られたものなのか、本能なのか。

現代社会でも、家族のあり方は、どんどん変わっていってる。親族から、3世帯、2世帯へと、コミュニティは狭まり、その分、同性カップルや事実婚カップルなど、個人としてのあり方は多様化してきている。『消滅世界』の中でも、同性婚は認められていなかった。どうして、ダメなんだろう。

正しいかどうかを話す時、何を基準とするかが問題になる。

社会なのか、家族なのか、個人なのか、主語を決めなければ、話せない。

『消滅世界』の中では、システム化された社会をその世界の、最新、最善としていた。誰でも産めて、誰でも育てられる。子供は共有財産で、どの子供が、誰の血縁なのか、誰もわからない。わからなくてもいいと思える世界。

理想的とも思える世界。主人公はその世界を受け入れながらも、最後のイブになろうとしてしまう。

環境に感覚を変えられていく主人公は、とても現代的だと思った。章が変わると、主人公の価値観も変わっていく。世代間の感覚の違いと同じように。

性欲と生殖が消滅していく世界には、何が残るのだろう。子供ちゃんは、どんな大人になるんだろう。

今の現代社会が全て正しいとは言いたくない。でも、全て異常だよとは、言われたくないんだ。『私たちは、いつも途中。』その通りだと思う。進化なのか、退化なのか、いつも変化していく。時間は一方向にしか進まないから、私たちは、歩き続けるしかない。でも、その行き先は、誰が決めているんだろう。

 

うわぁ、全部読んじゃった。と、読み終えて思った。なんで、このタイミングなんだろうと思った。本能というか、理性をあやふやにした行為をしたばかりの、このタイミングで、生殖に関することを考えさせられるような本を読んだんだろう。

以前も、彼氏との関係に悩んでる時に手に取った本が、『ダブル・ファンタジー』で、なんか示唆的で怖いなと思ったことがあった。

あんまりスピリチュアルとかオカルトとかみたいなこと言いたくないけど、何かに読まされたんだなって思ってる。ちゃんと考えないとな。