私の事しか語れない。

日々の彼是。脳内垂れ流し。

思いがけない挑戦を強いられた日。

地方都市に暮らし始めて、まだ半月だけれど、なんとなく慣れてきている気がする。

初めての一人暮らしの夜には不安と寂しさで涙が出たのに。

初めて東京で暮らした時には、どこで買い物をすればいいのか分からず、蒲田から池袋まで行ったのに。

電車通勤の方が楽だと思っていて、初めての車通勤にあんなに緊張していたのに。

初めて、今の土地に訪れた時に感じたデジャブは結局、自分がどこで生まれ育ったのか、自分のルーツがどこにあるのか、如実に教えてくれていたのだと思う。

残念ながら、私、地方の方が住みやすい。

自分の実家を離れたくて、我儘言って、10代で家を出させてもらったのに、行き着く先は、自分の実家のある土地と同じか、それ以上に田舎の地方だったというわけだ。

結局、私は根っからの田舎者の地方出身者というわけだ。

もちろん不満が無いわけではなく、それなりに不便もあるけれど、多分、すぐに気にならなくなる程度のことばかりだと思う。

が、私、ここで生きて行ける!と思っていた矢先に、結構、散々な目にあって、やっぱり地方は怖いなと思いました。

家から会社までは、ほぼ一本道。道幅は広いし、右折専用レーンもあるし、右折信号もあるし、周りに気を付ければ、ペーパーの私でも、すぐに一人で走れるようになるぐらい、走りやすい道です。

だからこそ、油断していたのです。

いつもと同じぐらいに会社を出て、いつもと同じ道を走っていたのに、妙に空いていたので、なんだか、すいすい進むな~などと思いながら、アクセルを踏んでいたのが、間違いの始まりでした。

自分の家へと続く最後の交差点に着いたことに気づかず、右折レーンへと車線変更するのを忘れてしまいました。

右折車線と直進車線の間は黄色ラインになっており、今から車線変更することは出来ない。

そこで、夫からの「道を間違えた時は、焦らずに進んで、引き返せばいいんだよ。」という助言を思い出し、それに従って、とりあえず、交差点を直進しました。

視線の先には次の交差点と思わしき信号があります。ここで、Uターンして、戻って来よう。そう考えて、右折専用レーンに並びました。が、それも間違いだったのです。

ノロノロと進む信号にイライラしつつ、Uターンをするのは、これで2度目になるので、ドキドキしながら車を進めると、信号の直前で、あることに気づきます。

ここ、Uターン禁止じゃね!?

はっきりと、地面の折り返す矢印に斜線が引かれています。戻れないのは困るけど、交通法違反するのも怖い。

仕方がないので、曲がった先で、また戻る道を探そうと、右側を見ると、そこには、高速の入り口がありました。というより、むしろ、それしかありません。そう、ここまで来たら、もう、高速に乗るしかないのです。

うそでしょ!高速なんて、一人で乗ったことないよ!

もう、Uターンどころの話じゃない。別次元の試練が目の前に現れました。もちろん、高速入り口付近に戻れる道なんてあるわけがありません。

ドキドキしながら、発券機に並び、なんとか券を受け取り、初めての高速ドライブスタートです。

そのインターからは、都市部と郊外、それぞれに向かう高速に乗れるのですが、都市部に向かうのは車が多そうで怖いので、郊外へ向かう道を選びました。

これは、我ながらナイスな判断でした。

郊外にありがちな、山の中を進む高速は、車が少ないし、明かりも少ない。

ほんの一か月までは、高速道路から横浜の夜景を眺めていたのに。

いや、正直そんなことを考える余裕なんてありませんでした。とにかく、次の出口まで、頑張ろうと自分を励ましながら、アクセルを踏み続けました。知らない道でスピード出すのは怖ったけど、高速を低速で走るわけにはいきません。

なかなか出口を示す看板が現れなくて、不安になったころに、やっと出口にたどりつきました。次の関門は、料金所。ETCなんて付けてないので、手渡しで払わなくてはいけないけれど、スムーズに出来るだろうか。そもそも、手が届く場所で止まれるだろうか。っていうか、お金あったっけ?前の車が支払いをしてる間に、ぐるぐると考え、なんとか財布を取り出し、入っていたお札と小銭を握りしめた状態で、順番が来ました。

なんとか、支払いができましたが、料金所のおじさんが妙にびっくりした顔をしていたのが、気になりました。そんなに酷い顔をしていただろうか。

今思えば、数百円の高速代なのに、万札を握り締めていたことに、ぎょっとされたのかもしれません。

たどり着いた出口は、一度か二度、夫の運転で来たことのある場所でした。

かろうじて、出口の先の分かれ道で、自宅方面であろう道を選べたことも、不幸中の幸いでした。

しかし、その先の道はわかりません。なんとなく、こっちだったような、と思っていた道を前にいた車が進んでいくので、つられて、進みました。街灯のない田んぼ道でしたが、前の車に着いていくことが出来たのも、ラッキーでした。どうにか田んぼ道を抜け、大きな道に着いたので、どこかのコンビニにでも止まって、ナビを入れようと思いながら車を進めますが、なかなかコンビニがありません。そうこうしているうちに、なんとなく見覚えのある景色になってきました。

そこは、2度ほど飲み会に行く夫を送りにきた駅のある通りでした。

そこまで来れば、帰り道はわかります。結局、駐車することなく、ナビを入れることなく、帰路につくことができました。

帰り道は、ほとんど、会社からの帰り道と一緒なので、本日2回目の帰り道です。さっきも、通ったわ、と思いつつ、今度こそ、自宅へと向かう交差点で右折をし、ようやく家に着くことが出来たのでした。

一つ右折しそびれたぐらいで高速に乗らせる地方怖すぎる!

でも、そんな私でも合流などに困ることなく、高速に乗れたのは、地方だからこそだったかもしれません。

とにかく無事に帰れた幸運に感謝しつつ、いい加減、道を覚えようと思った、推しの誕生日の夜でした。