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私の事しか語れない。

日々の彼是。脳内垂れ流し。

別れの辛さは同じ。

私は地方出身者なので、大人になったら、運転免許は必要だろうな、と漠然と思っていた。父は免許所有者だったが、母は免許がなく、どこへ行くのも自転車かバスだった。

大学2年の夏休みに、免許を取りに行った。自動車学校の費用などは親が払ってくれたので、取らせてもらった。というのが、正しい。

地元から離れた大学に通っていた私は、夏休みの間、帰省し、1ヶ月、ほぼ毎日自動車学校へ通った。最初こそ、取れるか不安だったけれど、検定などで落とされることもなく、免許センターの試験も一回で通り、無事に免許を取得することができた。

しかし、そのまま10年近い間、運転することはなかった。本当に。ただの1回も運転することはなかったのだ。

夫と付き合い始めた頃、どうしても、車が運転したい、というので、何回かレンタカーを借りてドライブデートをした。車が好きだということは知っていた。結婚し、新居を探す時にも、車を所有していないのに、駐車場付きの物件を探した。

結婚した年の秋、車を買おうと思う。と言われた。知人のつてで、安く買えそうなのだという。フォルクスワーゲンニュービートル。見た目が可愛いいので、好きだと思う車の一つだった。型式としては古く、何年も乗られているので、来た時から、不調があった。それでも、初めて車は嬉しかった。

残念なことに、購入を決めて、結構すぐに、夫の長期出張が決まってしまった。しかし、乗らないで置いておくのは、車には良くないので、夫が出張に出かけてから、私は運転の個人指導を依頼した。たった3回の教習だったけれど、近所を一回りするには、支障ないように指導してもらえた。

ただ、私の過信のせいで、指導を受けてから数日後、一人で出かけた先の駐車場で、ブロックにぶつけるという事態を起こした。他の車や人にぶつけなかったのが、不幸中の幸い。完全にトラウマになったので、それ以来、その店には行っていない。その後も、やはり駐車場などで、ブロックに何回か擦ったし、一度、路地を曲がる時に寄りすぎて、ポールに車体をめり込ませた。装甲の厚い外車でなければ、フレームが歪んだだろうねと言われた。今月も、夫に頼まれたお使いに行った時に、妙に焦ってしまい、目視を怠って、駐車する時にブロックに擦った。お察しの通り、運転は下手なのです。アホかと思われそうで怖いけれど、車体感覚というのだろうか、車幅と全長の感覚が今いちわからないのだ、だから、変に動きすぎてぶつけたりするのだ。

そんな、傷つけまくったニュービートルとお別れすることにした。もともと、調子がよくないまま、だましだまし乗っていたのだが、夫が次に乗りたいと思う車の目星がついたこともあり、買い換えることになった。

納車の日、文字通り二束三文にしかならないけれど、下取りをお願いしていたので、ニュービートルでディーラーに向かった。これでもう、この車に乗ることはないのかと思うと、寂しくてたまらなかった。

新車の受け渡しが終わると、記念写真を撮ってくれるという。せっかくなので、新車と旧車を並べたいと夫が言い出し、わざわざ停めなおして並べてもらった。

新しい車と、ニュービートルの間に立って、記念写真を撮ってもらった。

さぁ、帰ろうかと乗り込むのが、ニュービートルではないことに、申し訳ないような気持ちになり、思わず車体を撫でた。もう乗らないからと、しばらく洗車もしていなかった車体は、少しザラついていた。

新しい車から、乗り慣れた黄色い車体を見るのがなんだか切なかった。

物に愛着を持つ、というのを、初めて知った気がする。

新しい車では、まだ運転していない。というか、させてもらえない。よくわからないけれど、色々調整をしたいらしい。そうですか。今までの車とは、全然違う車とこれから、仲良くしなくてはいけない。ピカピカの車体を撫でるのは、なんだか恐れ多かった。不注意で傷をつけることだけは、どうにか避けたい。せめて、夫が先にこすり傷の一つでも付けてくれたらと思うけれど、悔しいかな夫は運転が上手いので、多分、よほどのことがない限り、そんなことは起きない。

私が、また運転の感覚を失わないうちに、新車を運転させてもらえることを願ってる。